事業成果を出す組織を作るのブログ

リモートワークのマネジメントと雑談

リモートワークで部下が感じる不安

直近で、完全リモートワークの企業にお勤めの方から「リモートワークでのチームビルディングについて教えてほしい」というご要望を頂き、カスタマイズセミナーを実施しました。リモートの状況下で若手社員が定着せず一気に辞めてしまった時期があり、このままではだめだとマネジメントをどうしたらよいかというお悩みでした。

実はこのテーマのご要望は今回が初めてではなく、ちらほら頂いています。コロナもほぼ落ち着いて出勤を求める企業が増えてきた中でも、現在でもリモートワークでの働き方を選択している企業もいるわけですね。エンジニアの方や育児中の方などにとっては柔軟な働き方を提示できれば採用につながる一方で、入った後にコミュニケーションが取りにくいことによる「チームの一体感」が出ないことについて悩まれているようです。

一番重要なポイントは「物理的な距離=心の距離を埋めることに手間をかけられるか」どうかだと思います。

これは完全出社の企業でもフリーアドレスなどの状況でも同じことが言えます。私も週に1~2回ほど在宅勤務をしますが、部下の立場での話をすると、自分の作業の進捗状況や働きぶりをリーダーが本当に見ていてくれているのか不安になるのです。下手すると、在宅勤務の日は丸一日リーダーとコミュニケーションを取らない日もあります。それが毎日リモートワークとなると、特に入社して歴の浅い新入社員や中途入社社員は不安が募ることでしょう。業務指示は降ってくるけどこちらの進捗は確認されない、自分の成長具合も計画されている感じがしないとなると、存在意義が見いだせなくなることは容易に想像できます。まさに、心の距離が遠くなっていく状態です。

リモートワークでは、「部下の心の距離を埋めること」がマネジメント層に求められます。マネジメントの義務としてプラスされていることを自覚しましょう。これはつまり、心の距離を埋めることができないリーダーはマネジメントスキルが不足しているということになります。若手のころはそこまで手をかけてもらっていない層が、自分たちがマネジメント層になったら部下との積極的なコミュニケーションを求められるというのは、押し付けられている感はあります。厳しい言い方をするとリーダーになる方は必ず評価される項目になると思います。

 


雑談は「このチームの一員である」というシグナル

心の距離を埋めるということは、「見ているからね」(見守りの意味でも監視の意味でも)ということをリーダー自身が発信しなくてはいけません。そのような状況であれば、雑談は非常によいツールであることを改めて考えてみてください。

実は、私も雑談をするのがそこまで好きなわけではありません。重要な打合せが重なっている日はそのシミュレーションで頭がいっぱいになり、雑談どころではなくなってしまいます。必要事項だけ打合せしてすぐにオンラインミーティングから退出したいという方の気持ちもわかります。

ただ、雑談が好きなリーダーと嫌いなリーダーは下から見ていると明白で、後者については「この人、人やチームに興味がないんだな」と部下は簡単に感じ取ることができます。すると、そのリーダーに対してついていこうという気持ちは全く起きず、貢献意欲などは湧きません。そして、リーダーのみならずチーム全体に対して心が開かない状態になってしまいます。これでは、チームビルディングのスタートラインにも立てていません。

雑談は「あなたはこのチームの一員」だというシグナルです。

雑談がないチームというのはビジネスライクが強い=心を開かなくてもよいチームということになります。個人的な感覚ですが、人間の本能として「雑談を日常的にかわしている人=味方」という安心感があるように思うのです。反対に、雑談がない=味方がいないとなるわけです。これは雑談の持つ効果を軽視できません。単純にフレンドリーな空気を作るということではなく、「このチームの一員かどうか」をお互いが判断するものなのです。

それに伴い、もう一つ意識して頂きたいのは、「リーダーきっかけで」雑談が始まることだと思います。まずはリーダーがこのチームに心を開いていることを示さないとメンバーに心を開くことを強要するのは到底無理でしょう。特にオンラインミーティングでは、出社している時のように突発的な会話が起きにくいので、その時は意図せずできていたコミュニケーションのハードルが格段に高くなります。リーダーがもしこの状況を脱したいのであれば、要所要所に雑談をはさんでみるということを実施してみてください。

 


スキマ時間を利用して小さな話をすればよい

雑談というと何かネタを用意して話を盛り上げなくてはいけないのかとか、プライベートで起きた情報を切り売りしなくてはいけないのかなどというイメージもありますが、そんな準備はしなくてよいと思います。また、相手から何か聞き出してあげなきゃ、相手を喋らせなきゃという時間でもないと思います。

要するに、雑談の話題自体が重要なのではなく、小さな話題(天気とか、ランチとか、通勤とか、社内イベントの話とか)がぽっと出せる雰囲気か+それに反応してくれる雰囲気かどうかの方が気にしてほしいポイントです。ここを面倒くさがっていてはいつまでたってもリモートワークでのマネジメントは確立していきません。

また、タイミングについては、オンラインミーティングのスキマ時間を利用しましょう。わざわざ雑談のために集まる必要はありません。ミーティングの開始・中断・終わりで少しでも時間が残っていれば、スキマ時間を利用してミーティングに関係するようなことから話すとよいと思います。業務についての話でも「ちょっと聞きたかったこと」であれば、それは「雑談」として話すことは可能です。

リモートワークのみならず、在宅勤務・フリーアドレスなどメンバーが離れて業務を行っているチームでは、リーダーは「物理的な距離=心の距離」を埋めることができなければ務まらないと思います。チームでの成果を出すためには、離れていてもチームが瓦解していないかを確認する必要があり、さらに結束するためにはどうしたらよいかを考えるのがリーダーの役目です。これを機にチーム内の「心の距離」を考えてみる一助になれば幸いです。

 

  • カスタマイズセミナー内での資料抜粋(IGNITE HORIZON 2023)

 

ブログ更新(HP公開のご挨拶となぜ人事コンサルをやろうと思ったか)

ブログを更新しました。

HP公開のご挨拶となぜ人事コンサルをやろうと思ったか

 

HP公開のご挨拶となぜ人事コンサルをやろうと思ったか

はじめまして、小瀬木と申します。

HPが公開されまして、今後ブログについても更新していこうと思います。ご興味がありましたら読んで頂けますと幸いです。

 

さて、初回のブログ更新ということで、まずはご挨拶と私がなぜ人事コンサルとして活動するに至ったかをお伝えしたいと思います。

”人事って何やってるの?”という質問は100万回聞かれます(人事あるあるですよね)。自分の会社でも何しているかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。私もその一人で、全く希望していないところからいわゆる”配属ガチャ”で人事に配属になりました。

人事というとなんだか裏方で冴えないイメージが強くて、配属されたときは本当にショックでした。配属後の懇親会でショックすぎて隅っこでうなだれていましたし、私は会社の花形にはなられない、”縁の下の力持ち”として終わっていくのだろうなという絶望感すらありました。働き始めて、管轄する地域内に点在する支社の人たちともやり取りが始まりました。「人事はいいよな、予算も業績もないし。」「人事は現場のこと全然考えないもんな」という皮肉を言われ、あはは…と苦笑いしながらやり過ごしていました。悔しかったですけど、でもいつからか「なぜ現場と管理部門はお互い嫌い合うような状況なのだろう?」「現場のニーズと人事施策の間に何か大きな分断があるのでは」という疑問が生まれました。「こんな嫌味を言われずに事業現場や従業員のためになる施策はどういうものなのだろう。」人事施策という手段が目的になってはいけない。あくまでも組織に何かしらのメリットがなくてはならず、そうでなければ辞めてしまった方がマシだ。何か施策を実施するときに今でも自分に問いかけています。この時期、現場から割と近い部署に配属されたことで事業現場の生の声を聴くことができ、ニーズ感覚が養われました。

配属から10年以上経ち、日本はいよいよ人材不足という大きな課題に悩まされる状況になりました。減少の一途を辿る労働人口、年功序列の崩壊、転職市場の活性化。つまり新卒を大量に採用して使い捨てるという時代は終わり、”人”という資源が会社にとっていかに重要か、”組織”というシステムが機能させることでいかに成果を出すかというフェーズに入っていったのです。これは、私も10年以上の実務の中でひしひしと感じていきました。が、残念ならが”人”や”組織”をうまく扱えている企業やリーダーは少ないように思います。今後は、”人”や”組織”をうまく扱えるということが会社が持続的に成長していく前提条件(当たり前)になっているのです。それに伴い、人事としての役割も比例して大きくなっています。私は”人”と”組織”のポテンシャルを最大限に引き出し、それにより成果を達成できるような企業を日本に一つでも増やしたいと考えています。このように、事業の成果を出すためには”人”や”組織”の重要性を痛いほど感じているけれど、制度・昇格・報酬設定・組織改編などの施策についてどうしたらよいかわからないという経営者の方や人事部門の方のために、伴走相手としてお手伝いさせて頂きたいです。

もう一つ、”人”や”組織”に関する重要な経験をしました。大企業ではいくつもの人事機能が存在するため、人事としての全体像を把握することができませんでした。一つの会社に対して人事として責任をもって関与したいと考え、子会社に出向しました。ですが、出向した先でのチームが困ったものでした。そこでは、上司から部下に教えるということは全く存在せず人材育成などまるでなし、メンバーはロボットのように言われたことだけを実施するという働き方をしていました。業務の改善なんてしない、他の人の業務範囲にも興味がない、新しい企画など生まれるわけもない生産能力のない組織です。そんな状況なので「会社をブーストするために人事施策を!」なんて考えている人は一人もいませんでした。これは困ったな、と思いました。味方が一人もいない状況で、まずは自分のチームをどうにかしなければと感じ、必死になってチームの再建に努めました。その時に、人を動かすポイント、個人の集まりをチームとして機能させるための方法などを試行錯誤したことで、時間はかなりかかりましたがチームは生まれ変わったように自走するようになりました。このような事例で悩んでいる悩んでいる経営者やリーダーの方、多いのではないでしょうか。チームにてこいれしたい、組織開発に取り組みたいのに味方がいない、マネジメントの方法が分からない、そのようなマネジメントやチームビルディングへの疑問・質問に対して、アドバイザーや個人メンターのような形でお手伝いできればと思います。

 

チームは生ものです。放っておくと意図しない方向から腐ってしまいます。事業発展したくても、組織に足を引っ張られるということがあります。少しずつできるところから、自分の会社やチームに向き合いましょう。その際に、分からないことやお役に立てることがありましたら、お気軽にお声かけ頂ければ幸いです。

 

 

ホームページを公開しました。

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