2024年07月09日
若手が採用できないのが当たり前の時代が来る
日本の労働力不足のスピードが深刻であるというポストを見ました。
調べてみて私も驚きましたが、元資料である内閣府「高齢化の推移と将来推計」を見ると、総人口が2070年(約50年後)までに8,700万人まで減少するそうです。現在が1億2000万人なので、4,000万人ほど減少する見込みのようです。驚くべきスピードで日本の人口は縮小していきます。
労働力と言われている15歳~65歳が減少していく状態では、人を採用したいと思っても採用はさらに難しい状況になります。大企業へ就職者数が一定数流れてしまうとすると、中小企業は厳しい戦いを強いられます。さらに、地方はそれ以上に施策を考えなくてはならないでしょう。
業態によると思いますが、例えばスーパーやアパレルのように人海戦術で人をつぎ込んで運営している店舗は自動化を進める必要があります。現に、ユニクロへ行ってみるとセルフレジが導入されていたりコーデ提案がマネキンや電子パネルによるものになっていたりとスタッフの方は削減されていることが分かります。これは大手企業だから成し得るものではなく、中小企業もこのように努力をしなくてはいけないということです。例えば、人事コンサル支援に入らせて頂いている企業様は、従業員10名の中小企業になりますがAIやChatGPTでの資料作成を模索されているようでした。
この方向転換にいち早く着手できるかどうか、これが中小企業が生き残る第一の鍵だと思います。
●参照(内閣府「令和5年版高齢社会白書」)
そして、上記のグラフを見れば、20代~30代の労働力が今よりもさらに取り合いになることは一目瞭然です。今後採用に力を入れたとしても、採用計画の通りに採用していくのは難しいと思います。採用担当者は営業マンさながら、高校・大学・転職エージェントを渡り歩き、売り込みに行く必要があります。ハローワークやエージェントサイトに求人を出しておけば自動的に申し込みが来るということは残念ながらなくなるのです。
しかも、2:8の法則で言えばその中で優秀と言われるような人材は20%程度でしょう。残りの80%を採用した場合、やはり社内で育成していくことは避けられません。
中小企業は既存人材を活用し、組織の効率を高める
私の個人的な意見として、組織の成熟なくして採用なしだと思っています。
今まで、チームの崩壊に幾度となく立ち会ってきました。そのような組織でよくあるのは、今ある組織を顧みずにとにかく人を採用し、人手不足を解消しようとしてしまうのです。組織がぼろぼろの状態でもとりあえず採用をかけ、組織に入れてみて、それで残った人材のみを使えばよいという考えだったのだと思います。辞めたあとに次の人材を採用できる頃はそれでよかったのでしょうが、人が採用できない社会ではそれは通用しなくなります。
組織を安定化させるために人事施策の必要性が高まっています。中小企業は、人手不足を乗り越えるために ①組織を整えてから採用すること ②今いる人材を活用すること の2点に取り組むべきでしょう。
まず一つ目の組織を整えるということについて、上記グラフから見ても1名採用できるということがとても貴重になってくる。そうすると、入社した人が会社に馴染めなかったり教えてくれる人が放置していたなど、カルチャーマッチング以外の問題(業務を吸収している段階)で短期間でやめていくということが無いようにしなくてはいけません。このチームにつける、誰から引き継ぎをさせる、その分の業務を誰に振り分ける、引き継ぎや教育に時間を割いた人に評価を上乗せする、こうして新しい人が入ってきてもチームが上手くまわるように制度や仕組みである程度道筋を立てておく必要があります。
また、入社者本人への意識付けややるべきことの明確化などコミュニケーションも最初は手厚めに対応しましょう。そのあたり、入ってきてからでは遅いので事前に練り上げておく必要があります。そうすることで、チームへの帰属意識と貢献意欲を早いうちから根付かせることができます。人事施策は組織の基盤づくりなのです。
二つ目の今いる人材の活用については、組織の効率を求められているので明確です。どこの企業も少ない人数で最大の成果を出さなくてはいけないということです。私が人事を経験して感じるのは、経営者やリーダーが部下や従業員の長所/短所、伸びそう/やらせるべきでない方向性、得意分野/不得意分野などを把握していないことが多いです。チームをまとめる立場として、自分の今抱えている戦力がどのくらいなのかは必ず把握しておきましょう。そのために、人事施策がないと客観的に分析することができないのです。
人が辞めていく、人が採れないと気付いてからでは遅いのです。組織を育てること、人を育てることはすぐに対策を始めましょう。
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2024年06月13日
業務の線引きがずれたチーム
従業員を雇っている経営者、部下を抱えているリーダーがやるべきこととして、業務の境界線を引くということがあります。
経営者は、従業員一人一人の業務分担というよりも組織のハコを作るために組織改編ということになります。リーダーは部下一人一人の業務分担を見極め、業務ローテーションをかけることです。どちらの施策も「今いるメンバーで成果を最大にする」ための効率を追い求めて、括りを変えるのです。
チームが崩壊している組織の原因はさまざまありますが、企業風土へのてこ入れは一番最後かなと私は思います。企業風土、文化・カルチャーの根付かせるという施策ももちろん重要ですが、「人」に原因が埋まっていないのにてこ入れをしてしまうと、ピント外れの施策を実施しているリーダーと思われてしまいます。
私は、企業や組織の問題はまず先に「業務」に注目すべきだと考えています。特に、チーム内でのいざこざ、部署同士の仲が悪いなどコンフリクト的問題が多発している組織では、「人」ではなく「業務」の分業の仕方に課題があることが多いと思います。業務の線引きが曖昧(仕事のアサインが上手くいっていない)という状態は、業務の実務担当者が他の部署や他のメンバーとの調整にかなりの時間と労力を使います。そのため、無駄だとわかっていても作業を続けてしまったり、調整せずにルールを曲げてしまったり、そういったところからコミュニケーション不足が引き起こされ、結果として会社やメンバーへ不信感が募っていくのです。
このような組織やチームは、線引きをそのままにして効率化を図ろうと思ってもうまくいきません。事業の変化に組織がついていけず、ずれていっているのです。
これは、会社単位で考えると部署にも同じことが言えます。分業していく以上、部署同士の調整は避けられません。複数組織が連携することで、大きなプロダクトを生むのです。ただ、組織の分け方を間違えると無駄な調整が増えてしまい、従業員たちは疲弊していきます。その次に訪れるフェーズは、黙って自分の前から嵐が通りすぎるのを待つ、つまり面倒くさいことに首を突っ込むなどしたくないので、他部署との調整が発生する業務に手を出さなくなるのです。そうなった組織で、事業がドライブするはずがありません。
事業を発展させるリーダーに必要なのは「チームデザインスキル」
経営者やリーダーに身に付けてほしいスキルに、私は「チームデザインスキル」を一番に挙げています。複数人で成果を出すためにどのように分業していくのかを設計(デザイン)できるスキルのことです。
チームとして動く必要があるのは3人からです。2人は何とかなります。片方がもう片方と被らないように仕事をすればいいからです。しかし、3人からは複数人が協働することでの成果が求められます。1+1+1=3だと許されないわけですね。にもかかわらず、3人になった瞬間に一気に業務が漏れる・被るが発生し、効率がガタ落ちし出します。1+1+1=3にするのも難しいのです。つまり、3人以上の企業・チームでは、分業する上での土台作りができるリーダーが必要になります。これが、「チームデザインスキル」が必要な理由です。
また、一度組み上げた業務の線を調整していくのもデザインスキルです。チームは生きています。3か月前に良しとしたチーム内の業務のすみわけが、3か月後にそのままでよいということにはなりません。新しい業務が増えていたり、突発業務に対応していたり、繁閑の波が来たりと、リーダーが気づかないところでチームは日々変化しているのです。そのため、1+1+1=3以上にするには、チームを定期的に観察し、調整を繰り返していくことが求められます。私の感覚ですが、これができないリーダーが意外と多い印象があります。経営者やリーダーはメンバーに業務を落としていくのですが、その際に気まぐれに業務を振るわけにはいきません。その場しのぎではなく、一定の基準で業務を割り振ることで責任の所在を明確にしていくのです。
「チームデザインスキル」は、会社全体で考えても必要な視点です。組織は一度作ったら終わりではありません。事業の発展に合わせて少しずつ変えていくのです。特に、人数が少ない企業ではぎりぎりの人数で経営しているでしょうから、効率の悪さ(ボトルネック)は致命傷です。放ったらかしにして、市場や事業の変化に合わせたサービスやプロダクトを展開しようとしても、組織が手遅れで対応できないことがあります。また、急に大幅な組織改編をするというのは前述のとおり従業員に大きな負担を強いるので、なるべく避けた方がよいと思います。まさに、IGNITE HORIZONが掲げている「最強のチームで最高の成果を」を実現するには、組織およびチームを事業の成長に合わせて日々変化させていくことが重要になります。
「チームデザイン」の一歩はチーム分析から
実際にどうやって「チームデザインスキル」を身に付けていくかということです。
私は「チームデザイン」の5割はチーム分析が占めていると考えています。まず、自分のチームがどのように分業しているか現状を洗い出します。そして、この半期に出てきた課題をメンバーにヒアリングし、洗い出してみます。この2点を実施するだけで、チームの全体像が見えてきます。新しいプロジェクトを発足させる場合、何もないところに分担を割り振るので、比較的分かりやすいと思います。
しかし、現在回っているチーム内で業務分担を振りなおす、もしくは組織改編を実施するというのは非常に難しいです。一番の難関はメンバーの負担です。人は慣れたものを壊し、新しい環境になれるまでに時間がかかります。業務を回しながら新しい状況に慣れていくにはストレスがかかるものですよね。ですが、現在の業務分担や組織配置で何か問題が生じているはずなので、経営者・リーダーは自分の仕事を抱えながら、腰を据えてその「問題」改革に乗り出せるかどうかだと思います。もう一つ、この「問題」というのがやっかいで、前述のとおり「業務の境界を引き直す=慣れているものを一度壊す」ことは従業員からの反発があることも想定されます。リーダーがここに億劫になっていると、組織の「問題」というものに感覚が鈍くなっていることがあります。もしくは、目をつぶってしまうこともあるでしょう。成果を出すためには、経営者・リーダーがどれだけ覚悟をもてるかにかかっています。
もう一点、そうは言っても自分が所属している企業やチームを自分で分析するのは、少し恥ずかしさを感じるというか、躊躇してしまう人もいるのではないでしょうか。理由を考えてみましたが、分析とはいい部分も悪い部分も掘り返す作業なので、客観的視点が必要です。そのため、まるで「外部の人のようにふるまう」ことになったり、「自分の組織を信用していない」と宣言しているように感じるからではないでしょうか。そこに、自分のチームに所属しながら分析を進める難しさがあります。
外部の手を借りたいと感じていらっしゃる経営者・リーダーの方がいましたら、お気軽にお声かけ下さい。私が全社的に分析することもできますし、リーダーの方が「チームデザイン」できるように中長期的なメンターを担当することも可能です。御社に合わせて伴走させて頂きます。
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2024年05月19日
<書籍情報>
■書名:図解人材マネジメント入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ
■著者:坪谷邦生
■出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
■どんな人向けか:初めて人事分野を担当される方、人事施策の全体像を知りたい方
「人事って何やっているの?」という疑問に打ち勝つ本
人事や組織を勉強している中で、読んだ本についても紹介しようと思います。
今回紹介する本は、
「図解人材マネジメント入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ」です。
人事を始めて11年経ちますが、本書を初めて店頭で手に取った際、この本が入社当時にあったらなあと思いました。どの分野でもそうですが、入社して最初は先輩社員が持っている雑務を振ってもらい、徐々にその業務の一担当となるわけです。しかし、それもまだ「人事」という全体像からすると本当に隅っこの部分を任されているだけであり、それを2年も3年も続けていると「今自分は全体のうちのどの部分を任されているのだろう」「一体いつになったら人事の全体像が分かるようになるのだろう」という暗闇の中を走っているような気分になることと思います。
私の場合は、「人事って何やっているの?」と他部署の同期や先輩から聞かれたときに、答えることができませんでした。私が答えられていたことと言えば、「普段は給与計算をしていて~、」「入退社の対応をしているよ」といった実務レベルの話に過ぎず、聞いてきた方も「ふーん」と興味を失ってしまうのです。しかも、実は労務をやっていたことが後からわかり、当時の私は人事と労務の区別すらついていませんでした。
本書は、そんな悩める人事担当に「人事とはこういうことをやるのだ」という全体像を見せてくれる非常に有効な説明書のようなものだと思います。本で勉強したいけど何から読むべきかわからないという方は本書をお勧めします。また、人事を立ち上げたいと考えている会社の方や人事施策を行いたい経営者の方にとっても、全体観を把握する上でも有効だと思います。
人事パーソンとしての設計図を手に入れよう
私は、人事担当になった方には、まず自分が担当する「人事」という領域がどのような要素で構成されているかを把握してもらいたいと考えています。そうすると、「自分が人事パーソンとしてどのように成長していくべきか」という道筋が見えてくることになります。任される業務だけで人事の全てを理解しようとするには何年あっても時間が足りません。そのため、自分が業務で携わっていない部分にどのような学ぶべきことが存在しているかを把握することが重要です。
私も本書をテキストにして社内で勉強会を実施していました。当時のチームは人事経験の浅いメンバーが多く、日々の業務に追われ、「人事とは何をすべきか」などを考えるきっかけもありませんでした。そのようなメンバーにも、本書をテキストにすることで人事の全体像を俯瞰してもらうことができました。
例えば、下記に引用している図ですが、人事の構成要素としてChapter1.人材マネジメントからChapter9.組織開発まで要素分けされています。各要素は相互で関係しており、また人が入社してから退職するまでの期間すべての要素を行き来することで人材資源を活用しています。そのため、どれか一つだけ極めるのではなくすべての要素に精通して初めて人材を扱うことができることが分かります。
さらに、Chapter10.働く人という項目があることもポイントで、雇用している人のキャリアを預かっていることも確認することができます。「人事のお客さんは従業員だからね」と当時の上司からみっちり叩き込まれてきましたが、制度や施策のような抽象的なものと従業員の一人一人のキャリアという具体的なものの双方を考えることも人事の重要な仕事の一つです。
引用:「図解 人材マネジメント入門」P.19
「組織開発」の重要性
Chapterの内容について一つご紹介したいと思います。
Chapter9で解説されている「組織開発」についてです。上記の引用している図を見て頂くとお分かりのように、「組織開発」は全ての人事制度の土台になっています。つまり、組織という土台が機能していないところにいくらピカピカの人事制度を乗せたとしても機能させることができず、組織諸共倒れてしまうということです。
「組織開発って胡散臭いな」と思っている方も多いと思いますし、意外と長年人事に携わっている方でさえもそのように感じるのではないでしょうか。それもそのはず、つい10年くらい前までは、パワーバランス的に企業側(上司)が労働者側よりも強かった印象があります。そのため、放っておいてもメンバーは上司に言われた通りチームのために働きましたし、一部の能力しか持たない人でもチームに貢献している部分があれば、企業側は雇用を継続できる体力もありました。
それが時代が急激に変わり、パワーバランスも変わってきました。転職市場が活発になり始め、労働者側が「この組織から得るものは何もない」「大切に扱われていない」と感じると簡単に離れていくようになりました。一方、企業側は1on1や評価制度のような従業員の積極性を高めるような制度を導入しています。私はここに矛盾が起きているように感じています。本書の一部を引用します。
逆に不活性な組織とはどんなものでしょうか?それは固定化した階層組織、型にはまった役割、規則・制度・ルールなどで「管理」された組織です。(「図解 人材マネジメント入門」P.228)
要するに、人事制度を導入するというだけでは、組織が「管理」されることを促進してしまっていますので、この「不活性化組織」を作り出してしまうのです。
そこから脱するには、その制度を運用するリーダー側の積極性にかかっています。まるでその制度が存在しないかのように、ナチュラルにチームのことを考え、メンバーと対話ができるようになって初めてメンバーにリーダーの想いが伝わります。そしてメンバー側もこの組織に貢献しようという気持ちが高まり、組織は活性化しだすのです。リーダー開発に力を入れる企業が多いのは、まさにこの考えからです。
人事関係の皆様は本書で人事の役割を学んで頂くなかで、人事の土台は組織開発であるということを意識されてほしいなと思います。著者の坪谷邦生さんが出版されている本書のシリーズで、「組織開発入門」という本もありますので、そちらも今後紹介できればと思います。
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2024年05月01日
■実績紹介
会社名:株式会社エコ・ブレーンズ
設立:2008年
所在地:静岡県静岡市
従業員数:10名
事業内容:補助金申請代行業
ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を定めよう
株式会社エコ・ブレーンズ様に人事コンサルティングのご支援に入らせて頂いております。こちらの企業は従業員数10名の小さな企業様ではありますが、過去に従業員との関係がうまく発展できず、チーム崩壊に近い経験をされているため、今後そのようなことがないように組織の診断と早いうちからの対策をご希望されており、今回の支援に至りました。
チームは10人を超えたあたりから、階層を意識する必要が発生します。今までは、全員平等として扱ってきた従業員同士の関係性も、評価に差を与えるかどうかを決断していく一つのターニングポイントになります。
10人程度ですと従業員の皆様は社長様に直接物申せる距離にいますので、不公平を感じる従業員からの異変は肌で感じることが多いと思います。とはいえ、不公平を訴えている従業員が求められているパフォーマンスを発揮しているとも限らないのが難しいところです。このまま平等を貫くか、評価制度を導入して階層をつけるかというところは、正直今後の企業のなりたい姿によるところがあるので一概には言えません。
そのため、私は人事制度を導入する際は、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の策定から入らせて頂きます。社長様を中心とした経営層の皆様が持つ会社への考えを固めていくのです。会社をどうしたいか、事業をどのように発展させていきたいか、従業員はどのように働いてほしいかなど、普段は言葉にする機会がないような事項に関して、納得できるまでお話を聞かせて頂きたいと思います。私自身もその会社の文化や働きがいなど、実際に中に入ってみないとわからないことを把握していく必要がありますので、この経営層の方々とのお話は非常に大切な時間です。具体的には、オリジナルの質問シートを用意しておりますので、事前に記入頂き、そちらを基に私とミーティングを繰り返します。
もうすでに企業理念のようなものが定まっている企業様は今あるものを活かして進めていきますので、そこまでお時間は頂戴しません。但し、策定されてからあまりにも時間が経ってしまっているものですと経営層の考える実態とずれてくる場合がございますので、その場合は同じように時間をかけて話を伺うプロセスをはさむようにしています。
経営者のためのミッション、企業のためのビジョン、従業員のためのバリュー
株式会社エコ・ブレーンズ様の社長様との打合せの中でも、「ミッション・ビジョン・バリューの区別が分かりづらい」とのお話を受けましたので、今一度整理したいと思います。
ミッション・ビジョン・バリューは山登りに例えられることが多いです。逆算的な説明になりますが、下記のようになります。
まず山登りをする人、これが従業員です。「山を登る」=「事業の成果を出す」ということです。それに対して、どのようなプロセスやマインドで頂上までいくのかということが「バリュー」=「その会社の価値」になります。簡単な道から行くのか、険しい道を行くのか、はたまたヘリコプターで行くのか、従業員の方の取り組む姿勢や組織文化などについてを文言にしますので、会社の価値観が出る部分だと思います。
次にビジョン、これは「どのような山を登っているのか」「山を登り続けると、我々はどのようになるのか」というめざしたい姿を表現しています。この「山を登り続ける」というのは事業を継続するということで、5~10年後くらいの中長期的な目標です。現状維持でもよし、組織が大きくなる途中でもよし、支店を出したいでもよし。従業員の方が入社してからギャップを感じる部分はこのビジョンの認識がずれている場合に起こると思います。そのため、「この企業はこのようになりたいと思っています」という自己紹介的な部分でもあります。
最後にミッションですが、「大前提として、なぜ山を登るのか。なぜ頂上をめざすのか」を掲げていきます。これは事業を立ち上げ、継続している社長様の中にしか答えがないものなので、対話の中で言語化して頂く必要が出てきます。最初はまとまらない内容を話す方や、反対にきれいごとのような上辺を話す方もいらっしゃいますが、私との壁打ちをしていく中で「ここが原動力だ」というポイントが見えてきます。そこが出てくるまでは、少し苦しいですが同じような問いを何度もさせて頂き、ご本人も気づかなかったような部分を見つけていきます。
MVVは人事施策のみならず、企業のすべての事業施策に紐づいてきます。さらには、「このMVVに賛同してくれる従業員」が入社基準になれば、企業と従業員のマッチングもそこまで外れることは少ないはずです。組織を作り、事業をドライブさせていくうえで、MVVは必要不可欠なのです。
従業員への浸透と対外的アピール
MVVを策定しただけでは何の意味もありませんので、従業員へ浸透させることが必要になってきます。特に、ミッションについては、企業の根幹であり従業員がその企業で働く理由にもなりますので、ぜひ周知・浸透にも心掛けてほしいと思います。
株式会社エコ・ブレーンズ様の例ですと、社長様が事務所の一番目立つ場所にミッションを印刷して掲載してくださいました。
こちらの企業は地域密着型で従業員の皆様も地元を愛しており、地域のために役に立ちたいという想いが強いことが分かりました。また、補助金事業という、ものづくり大国日本を支える中小企業にも貢献できるという点も踏まえ、ぴったりのミッションだと思います。
掲示以外にも、当方にてHPや会社パンフレットに掲載する素材も作成しております。対外的にアピールすることも先述の理由から効果的です。組織作り、そして人事施策へ入る前の土台作りとして、MVVを策定から始めてみることをおすすめします。
興味のある企業様、経営者様、ぜひお気軽にお問合せ下さい。
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