事業成果を出す組織を作るのお知らせ

ブログ更新(書籍紹介(図解 人材マネジメント入門))

ブログを更新しました。

本紹介(図解 人材マネジメント入門)

書籍紹介(図解 人材マネジメント入門)

<書籍情報>

■書名:図解人材マネジメント入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ

■著者:坪谷邦生

■出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン

■どんな人向けか:初めて人事分野を担当される方、人事施策の全体像を知りたい方

 


「人事って何やっているの?」という疑問に打ち勝つ本

人事や組織を勉強している中で、読んだ本についても紹介しようと思います。

今回紹介する本は、

「図解人材マネジメント入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ」です。

人事を始めて11年経ちますが、本書を初めて店頭で手に取った際、この本が入社当時にあったらなあと思いました。どの分野でもそうですが、入社して最初は先輩社員が持っている雑務を振ってもらい、徐々にその業務の一担当となるわけです。しかし、それもまだ「人事」という全体像からすると本当に隅っこの部分を任されているだけであり、それを2年も3年も続けていると「今自分は全体のうちのどの部分を任されているのだろう」「一体いつになったら人事の全体像が分かるようになるのだろう」という暗闇の中を走っているような気分になることと思います。

私の場合は、「人事って何やっているの?」と他部署の同期や先輩から聞かれたときに、答えることができませんでした。私が答えられていたことと言えば、「普段は給与計算をしていて~、」「入退社の対応をしているよ」といった実務レベルの話に過ぎず、聞いてきた方も「ふーん」と興味を失ってしまうのです。しかも、実は労務をやっていたことが後からわかり、当時の私は人事と労務の区別すらついていませんでした。

本書は、そんな悩める人事担当に「人事とはこういうことをやるのだ」という全体像を見せてくれる非常に有効な説明書のようなものだと思います。本で勉強したいけど何から読むべきかわからないという方は本書をお勧めします。また、人事を立ち上げたいと考えている会社の方や人事施策を行いたい経営者の方にとっても、全体観を把握する上でも有効だと思います。

 


人事パーソンとしての設計図を手に入れよう

私は、人事担当になった方には、まず自分が担当する「人事」という領域がどのような要素で構成されているかを把握してもらいたいと考えています。そうすると、「自分が人事パーソンとしてどのように成長していくべきか」という道筋が見えてくることになります。任される業務だけで人事の全てを理解しようとするには何年あっても時間が足りません。そのため、自分が業務で携わっていない部分にどのような学ぶべきことが存在しているかを把握することが重要です。

私も本書をテキストにして社内で勉強会を実施していました。当時のチームは人事経験の浅いメンバーが多く、日々の業務に追われ、「人事とは何をすべきか」などを考えるきっかけもありませんでした。そのようなメンバーにも、本書をテキストにすることで人事の全体像を俯瞰してもらうことができました。

例えば、下記に引用している図ですが、人事の構成要素としてChapter1.人材マネジメントからChapter9.組織開発まで要素分けされています。各要素は相互で関係しており、また人が入社してから退職するまでの期間すべての要素を行き来することで人材資源を活用しています。そのため、どれか一つだけ極めるのではなくすべての要素に精通して初めて人材を扱うことができることが分かります。

さらに、Chapter10.働く人という項目があることもポイントで、雇用している人のキャリアを預かっていることも確認することができます。「人事のお客さんは従業員だからね」と当時の上司からみっちり叩き込まれてきましたが、制度や施策のような抽象的なものと従業員の一人一人のキャリアという具体的なものの双方を考えることも人事の重要な仕事の一つです。

 

引用:「図解 人材マネジメント入門」P.  

引用:「図解 人材マネジメント入門」P.19

 

 


「組織開発」の重要性

Chapterの内容について一つご紹介したいと思います。

Chapter9で解説されている「組織開発」についてです。上記の引用している図を見て頂くとお分かりのように、「組織開発」は全ての人事制度の土台になっています。つまり、組織という土台が機能していないところにいくらピカピカの人事制度を乗せたとしても機能させることができず、組織諸共倒れてしまうということです。

「組織開発って胡散臭いな」と思っている方も多いと思いますし、意外と長年人事に携わっている方でさえもそのように感じるのではないでしょうか。それもそのはず、つい10年くらい前までは、パワーバランス的に企業側(上司)が労働者側よりも強かった印象があります。そのため、放っておいてもメンバーは上司に言われた通りチームのために働きましたし、一部の能力しか持たない人でもチームに貢献している部分があれば、企業側は雇用を継続できる体力もありました。

それが時代が急激に変わり、パワーバランスも変わってきました。転職市場が活発になり始め、労働者側が「この組織から得るものは何もない」「大切に扱われていない」と感じると簡単に離れていくようになりました。一方、企業側は1on1や評価制度のような従業員の積極性を高めるような制度を導入しています。私はここに矛盾が起きているように感じています。本書の一部を引用します。

 

逆に不活性な組織とはどんなものでしょうか?それは固定化した階層組織、型にはまった役割、規則・制度・ルールなどで「管理」された組織です。(「図解 人材マネジメント入門」P.228)

 

要するに、人事制度を導入するというだけでは、組織が「管理」されることを促進してしまっていますので、この「不活性化組織」を作り出してしまうのです。

そこから脱するには、その制度を運用するリーダー側の積極性にかかっています。まるでその制度が存在しないかのように、ナチュラルにチームのことを考え、メンバーと対話ができるようになって初めてメンバーにリーダーの想いが伝わります。そしてメンバー側もこの組織に貢献しようという気持ちが高まり、組織は活性化しだすのです。リーダー開発に力を入れる企業が多いのは、まさにこの考えからです。

人事関係の皆様は本書で人事の役割を学んで頂くなかで、人事の土台は組織開発であるということを意識されてほしいなと思います。著者の坪谷邦生さんが出版されている本書のシリーズで、「組織開発入門」という本もありますので、そちらも今後紹介できればと思います。

 

実績紹介更新(ミッション・ビジョン・バリューの策定)

実績紹介を更新しました。

ミッション・ビジョン・バリューの策定

ミッション・ビジョン・バリューの策定

■実績紹介

会社名:株式会社エコ・ブレーンズ

設立:2008年

所在地:静岡県静岡市

従業員数:10名

事業内容:補助金申請代行業

 


ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を定めよう

株式会社エコ・ブレーンズ様に人事コンサルティングのご支援に入らせて頂いております。こちらの企業は従業員数10名の小さな企業様ではありますが、過去に従業員との関係がうまく発展できず、チーム崩壊に近い経験をされているため、今後そのようなことがないように組織の診断と早いうちからの対策をご希望されており、今回の支援に至りました。

チームは10人を超えたあたりから、階層を意識する必要が発生します。今までは、全員平等として扱ってきた従業員同士の関係性も、評価に差を与えるかどうかを決断していく一つのターニングポイントになります。

10人程度ですと従業員の皆様は社長様に直接物申せる距離にいますので、不公平を感じる従業員からの異変は肌で感じることが多いと思います。とはいえ、不公平を訴えている従業員が求められているパフォーマンスを発揮しているとも限らないのが難しいところです。このまま平等を貫くか、評価制度を導入して階層をつけるかというところは、正直今後の企業のなりたい姿によるところがあるので一概には言えません。

そのため、私は人事制度を導入する際は、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の策定から入らせて頂きます。社長様を中心とした経営層の皆様が持つ会社への考えを固めていくのです。会社をどうしたいか、事業をどのように発展させていきたいか、従業員はどのように働いてほしいかなど、普段は言葉にする機会がないような事項に関して、納得できるまでお話を聞かせて頂きたいと思います。私自身もその会社の文化や働きがいなど、実際に中に入ってみないとわからないことを把握していく必要がありますので、この経営層の方々とのお話は非常に大切な時間です。具体的には、オリジナルの質問シートを用意しておりますので、事前に記入頂き、そちらを基に私とミーティングを繰り返します。

もうすでに企業理念のようなものが定まっている企業様は今あるものを活かして進めていきますので、そこまでお時間は頂戴しません。但し、策定されてからあまりにも時間が経ってしまっているものですと経営層の考える実態とずれてくる場合がございますので、その場合は同じように時間をかけて話を伺うプロセスをはさむようにしています。

 


経営者のためのミッション、企業のためのビジョン、従業員のためのバリュー

株式会社エコ・ブレーンズ様の社長様との打合せの中でも、「ミッション・ビジョン・バリューの区別が分かりづらい」とのお話を受けましたので、今一度整理したいと思います。

ミッション・ビジョン・バリューは山登りに例えられることが多いです。逆算的な説明になりますが、下記のようになります。

まず山登りをする人、これが従業員です。「山を登る」=「事業の成果を出す」ということです。それに対して、どのようなプロセスやマインドで頂上までいくのかということが「バリュー」=「その会社の価値」になります。簡単な道から行くのか、険しい道を行くのか、はたまたヘリコプターで行くのか、従業員の方の取り組む姿勢や組織文化などについてを文言にしますので、会社の価値観が出る部分だと思います。

次にビジョン、これは「どのような山を登っているのか」「山を登り続けると、我々はどのようになるのか」というめざしたい姿を表現しています。この「山を登り続ける」というのは事業を継続するということで、5~10年後くらいの中長期的な目標です。現状維持でもよし、組織が大きくなる途中でもよし、支店を出したいでもよし。従業員の方が入社してからギャップを感じる部分はこのビジョンの認識がずれている場合に起こると思います。そのため、「この企業はこのようになりたいと思っています」という自己紹介的な部分でもあります。

最後にミッションですが、「大前提として、なぜ山を登るのか。なぜ頂上をめざすのか」を掲げていきます。これは事業を立ち上げ、継続している社長様の中にしか答えがないものなので、対話の中で言語化して頂く必要が出てきます。最初はまとまらない内容を話す方や、反対にきれいごとのような上辺を話す方もいらっしゃいますが、私との壁打ちをしていく中で「ここが原動力だ」というポイントが見えてきます。そこが出てくるまでは、少し苦しいですが同じような問いを何度もさせて頂き、ご本人も気づかなかったような部分を見つけていきます。

MVVは人事施策のみならず、企業のすべての事業施策に紐づいてきます。さらには、「このMVVに賛同してくれる従業員」が入社基準になれば、企業と従業員のマッチングもそこまで外れることは少ないはずです。組織を作り、事業をドライブさせていくうえで、MVVは必要不可欠なのです。

 

 


従業員への浸透と対外的アピール

MVVを策定しただけでは何の意味もありませんので、従業員へ浸透させることが必要になってきます。特に、ミッションについては、企業の根幹であり従業員がその企業で働く理由にもなりますので、ぜひ周知・浸透にも心掛けてほしいと思います。

株式会社エコ・ブレーンズ様の例ですと、社長様が事務所の一番目立つ場所にミッションを印刷して掲載してくださいました。

こちらの企業は地域密着型で従業員の皆様も地元を愛しており、地域のために役に立ちたいという想いが強いことが分かりました。また、補助金事業という、ものづくり大国日本を支える中小企業にも貢献できるという点も踏まえ、ぴったりのミッションだと思います。

掲示以外にも、当方にてHPや会社パンフレットに掲載する素材も作成しております。対外的にアピールすることも先述の理由から効果的です。組織作り、そして人事施策へ入る前の土台作りとして、MVVを策定から始めてみることをおすすめします。

興味のある企業様、経営者様、ぜひお気軽にお問合せ下さい。